二つのクライマーズ・ハイ
080723_横須賀HUMAXシネマにて
<映画ストーリー>
1985年8月12日、群馬県御巣鷹山にJAL123便が墜落、死者520人の大惨事が起こった。前橋にある北関東新聞社では、白河社長の鶴の一声により、一匹狼の遊軍記者・悠木和雅が全権デスクに任命される。そして未曽有の大事故を報道する紙面作り―闘いの日々が幕を開けた。さっそく悠木は県警キャップの佐山らを事故現場へ向かわせる。そんな時、販売部の同僚で無二の親友・安西がクモ膜下出血で倒れたとの知らせが届く…。
<NHKドラマストーリー>
クライマーズ・ハイ。登山中に興奮状態が極限にまで達し、恐怖感が麻痺すること。
1985年8月12日、運命の日。群馬県の地方新聞記者・悠木和雅は魔の山とよばれる谷川岳の衝立岩の登頂に同僚と挑戦するはずだった。だがそれは突然絶たれる。
もう一つの聖なる山がたちはだかったからだ・・・
群馬県御巣鷹の尾根の日航ジャンボ機墜落事故から20年。横山秀夫のベストセラーを原作に、未曾有の大事故を報道する地元新聞記者たちの興奮と混乱に満ちた1週間を描く。
<感想>
映画も感動したのですが、あまり身を入れて見てなかったNHKの方を、もう一度じっくり見なおしてみました。
映画は臨場感と迫力があってよかったし、NHKドラマの方は細かい演出が光っていてどちらも甲乙つけがたい作品でした。
◆クライミングのシーン
さすがに映画の方が画面の迫力がありました。それに、過去の気分の高揚具合と山登りの様子がすごくシンクロしているように思えました。
◆老けメイク
堤さんが60才にはどうしても見えないんだよね~
それに比べて、佐藤浩市はちゃんとおじいちゃんぽく見えました。
◆遊軍記者
主人公は元々は、遊軍記者=組織に付かず一人で動く記者が突然日航全権デスクに抜擢されて…という設定なのだが、堤さんの方は、今までの役柄のイメージからか、はじめから頼れるデスクのように見えました。佐藤浩市の方が一匹狼ぽいイメージで、突然デスクにされてとまどってる感じが出てたような気がする。
◆父と子の確執
映画の方は、社長(父親代わり)との確執に重点を置いている感じで、NHKドラマの方は息子との関係に重点がおかれてました。
映画では離婚した設定になってるのに、NHKドラマでは離婚してないし娘までいるし、事件終了後にすでに息子との関係は改善してるので、このへんはまったく切り口が違いますね。
個人的には、後者の設定の方が自然でいいような気がした。これだと息子と燐太郎とが今でも親交があるのも納得いくし。
でも山崎努のエロ社長はいいですね~。
◆安西
NHKでは倒れた理由がうやむやでしたが、映画でははっきり描かれていました。
しかし逆に登場時間が少ないのに、あれだけのインパクトを与える赤井はすごいなと思った。
◆佐山&神沢の現場までの登山と下山
映画では過程が丁寧に描かれていて、迫力がありました。
真実を知った時の堺さんの目もすごかった。
◆取材中の不幸
NHKの方は、過去の事件として扱われてますが、映画の方は思いっきり神沢が自爆してます。これはインパクトはあるけどかなり後味悪かったです。NHKドラマは遺族(望月彩子)も出てきて深い悲しみがよく描かれてたと思います。
◆新聞を求める遺族親子
NHKの方は説明しすぎな感もありましたが、ダイレクトに記事を掲載するかの決断につながっててわかりやすかったです。
ちと映画の方はわかりずらい演出でした。
◆世代間の確執と等々力部長
映画ではこれも父と子の確執の一つとして描かれていたような気がします。
しかし最初オオクボレンセキ(大久保・連赤)というのがわからなくて、オオクボレンセキという落石事件とかと思っちゃいました。
NHKでは一徳さんがこの確執を全て背負う格好。迫力ありました。でも遠藤さんもよかったよ。
例のシーンは映画では料亭、ドラマでは行きつけのすっぽん屋で、やっぱり後者の方がリアリティがありますよね。
◆当時の映像
NHKのはNHKのニュース画像使いまくりで、わかりやすいのですが、ちょっと頼りすぎで不謹慎なんじゃないかと思うくらい。映画はあまり使わせてもらえなかったようだけど、ちゃんと雰囲気出てました。
◆新聞社部員
NHKは主人公以外は、佐山と神沢さんと等々力部長くらいしかキャラたってないように思えましたが、映画はワキの人たちもかなり魅力的でした。特に整理部の人たち(でんでんとマギー)がお気に入りです。
エキストラは使わず、全て俳優を使って一人ずつちゃんと設定もしただけあって、やっぱりイキイキしてましたよ。
◆時代考証
映画で堤さんがペットボトルの茶を飲み干すシーンが…。これはちょっとひどい。
◆抜き記事を載せなかった理由
どちらも理由づけとしては、「遺族のために確実な真実を載せたい」ではあったのだろうが、映画の方は正式に発表されたものがほんとうに真実なのか?という問いかけも混ざっていました。
なので、この場合は、次の日に同じ内容の記事を迷わず載せたのはちょっとおかしいなと思いました。この流れだと疑問視する記事を載せてもいいはず。
<最後に>
扱ってるのが実際の事件ですので、見比べてるのも少し不謹慎な気分になってきました。
しかし、二度とこういう事件を起こさないためにも、こういう良質なドラマが複数の人の手によって繰り返し作られることはよいことだと思います。機会があったら原作も読んでみようと思います。
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