BS金曜時代劇「薄桜記」つれづれ!

2012年9月22日

今日最終回なんですけど、地味な作品だけどw地味にはまってました。
素直におもしろいというよりかは、結構ツッコミどころも多いのでね(^^;
この「薄桜記」が、改めてググってみると結構謎の多い作品で、疑問に思っていた点などをまとめてみました。

左膳と典膳

娯楽作品は連鎖する。─「薄桜記」と「薄桜鬼」騒動について思うこと。

そもそも五味康祐の原作「薄桜記」だって、林不忘の小説「丹下左膳」の主人公から名前と設定を拝借してます(丹下左膳→丹下典膳。隻腕という設定まで!)。現代だと考えられないんですが、一種のパロディというか、二次創作みたいな感覚だったんじゃないでしょうか。
その「丹下左膳」にしても、中里介山が小説「大菩薩峠」で創作したニヒルで残忍な主人公・机竜之介の影響を受けてます。

片腕の研究

話の途中ですが、隻腕の丹下典膳、この障害と名前で思い出す人がいませんか。
そうです、丹下左膳!
四十代以上の人なら誰でも知っている時代劇のヒーローです。
丹下左膳は片目片腕の怪剣士で、異様ともいえるファッションセンスの人でした。
黒襟の白地の着物に筆文字がいっぱい書いてあって、下には女物の赤い長襦袢。
隻眼隻腕でこのファッション。
しかも強い!
カッコ良かったですが、知らない人には想像もつかない異形のキャラでしょうね。

丹下左膳は作家林不忘が創作した小説上の人物です。
わたしが知っているのは(多くの人もそうだと思いますが)、映画の丹下左膳。
それも大河内伝次郎ではなくて、大友柳太朗の丹下左膳です。
元々の丹下左膳は容姿に相応しくニヒルなタイプですが、大友柳太郎の左膳は明朗豪快。
底抜けな左膳の笑い声と、左膳につきまとう孤児のチョビ安の記憶が今でもあります。
(肝心の、物語の軸である「こけ猿の壺」の争奪戦は全然憶えていていないのですが。)

「薄桜記」には原作があります。
時代小説作家五味康祐が書いたもので、丹下典膳は実在の人物とされています。
しかし、隻腕の剣豪である丹下左膳のイメージと名前を借りてきたことは間違いありません。
(名前は鞍馬天狗=倉田典膳との合成という説が有力。)
実在の人物を丹下左膳のイメージで脚色した、というのが本当ではないでしょうか。
ついでにいえば、原作と映画はまったく違うそうです。
映画が恋愛に重心を置いているの対して、小説は忠臣蔵の外伝といった趣だそうです。

片目片腕の丹下左膳、全盲の座頭市。
何故か日本の民衆は障害のあるヒーロー(剣の達人)が好きなようです。
左膳や市の人の哀しみを包み込むような優しさと、強さが、好きなんでしょうね。

昔の映像作品は見たことがないのですが「丹下左膳」も演じる人によって、結構イメージが違ってくるみたいですね。
この文章で、このあと典膳と千春の離縁についての考察も続きますが、非常に読み応えがあるので、時間があったらぜひ読んで欲しいです(>▽<)

典膳に実在のモデルはいるのか。

ネット上だと、実在のモデルは存在するけどその正体は不明っていう内容が散見されるんですよね。

捕物帖-国産

「薄桜記」は忠臣蔵外伝です。主人公の丹下典膳のモデルは実在の人物で、その詳細は判然としません。片腕で腕の立つ武士だといわれたそうです。林不忘はこの人物をもとに丹下左膳を造形しました。五味描くところの典膳は、左膳とは似ても似つかぬ人物です。

ダックに花束 – ダックのパパママストア

丹下典膳という名前は、林不忘が創作した「丹下 左膳」と、大仏次郎が創りだした「鞍馬天狗」の本名「倉田典膳」の合成であるが、作者によれば実在の人物ということになっている。二人の人物に、武士道の誉れを見たのか、ただし、真偽のほどはわからない。

特集・薄桜記②
日本経済新聞08年12月14日のコラム記事みたいです。文学散歩みたいな手合いのやつ。

五味は、作中に「『忠臣蔵』を超える大衆の文芸は将来もあらわれることはないだろう」と記しながら、「忠臣蔵」を超える大衆小説の創設に挑んだようだ。

 その試みが成功するには、丹下典膳の物語に読者が真実味を感じなければならない。主人公の動きを三人称で叙述する普通の小説の文体と、作者の考えや解釈を一人称で記す史伝小説風の文体を混在させたのは、リアリティーをだすための工夫に違いない。

 典膳が身を寄せた寺と最後の決闘の場所を、谷中に現存する寺社に設定したのも、話を本当らしくするのが狙いだったと推測できる。

この新聞記事を読むところだと、作者がリアリティを追求したというとこまではわかるけど、実在というところまでは、はっきりしないなあ。
正直プロデューサー的な臭いがします(^^;

同調レビュー

「薄桜記」~丹下典膳とは? タコ部屋から/ウェブリブログ
「居眠り~」は見てないけど、確かに浪人になった時もあんまり悲壮な感じはしませんでしたね。若い女子に面倒みてもらって、むしろ長屋暮らしを満喫してる感じでした(笑)
↑この時ちはるも「家政婦は見た」状態で、ちょっとおもしろかったですw
浅野家自慢と上杉家自慢のシーンも確かにおもしろかったので覚えています。

最終回見ました。

調べながらうっすらとはわかってたのですが、討ち入り前に討たれちまう地味さにある意味胸打たれました(爆)
わざと討たれたにせよ、最後の一撃がちょっと間抜けな感じもして残念でした(ノД`)
ちはると出会わなければ左手を斬られることもお家断絶することもなかっただろうし、最後もちはるがいるからこそ吉良家の用心棒に入ったんだろうから、ちはるって「さげまん」!?とも思ってしまいますが、最後は一緒になれてよかったねというところでしょうか。
小説だと最後にちはるは登場しないようなので、あのへんはジェームズ三木の脚色なんだろうなぁ~
正直、自分の中では山本くんて腹黒ヘタレなイメージがあってw 精錬潔白なこの役はピンとこなかったです。
がっ、題材的にはマニアックでおもしろいなと思ったので満足。