河合はるこ=つりたくにこ脚色ぽいよ[「青林工藝舎」ブログより]

2010年7月11日

ここに辿りつく方で多いのが、
「河合はるこ、モデル」で検索していらっしゃる方なのですが、
前回、ちょっと煽り気味のタイトルにしてしまったので、少し補足しておきますね。

twitterの#gegegeハッシュタグでよく見かける「青林工藝舎」のブログにて詳しい情報がありました。

つりたくにこ=河合はるこ!|青林工藝舎「アックス」編集部だより

ここ一月ほど、NHKドラマ「ゲゲゲの女房」で少女マンガ家の卵として登場する「河合はるこ」は、若くして亡くなったマンガ家のつりたくにこさんがモデルではないかと話題になっているようです。元々はネットで「河合はるこにはモデルがいるんでしょうか?」と誰かが質問したことに「つりたくにこさんでは?」という書き込みがあったことから一気に噂が広まり、伝言ゲームのように情報の細部が抜け落ちたりあらたな情報が加わったりする中ですっかり「河合はるこ=つりたくにこ」ということになってしまったみたいですね。
実際のところはどうなんでしょうか? すでに一部で検証作業がはじめられているようですが、最初に現時点での私個人の見解を書けば「モデルではないが、何らかのヒントにしている可能性はあるかも」ということになります。以下に理由を。

私もYahoo知恵袋を見て興奮して記事を書いてしまった一人ですが、
モデルっちゅーか、まぁなんらかの人物設定のヒントにしたんだろうなぁ
という意味合いで落ち着いております。
そもそも登場してる時期も違いますし、7月からの新展開にも女性アシスタントはいないようですしね。

ゲゲゲの女房はわざわざ登場人物の名前や出版社名を
ちょっとずつ変えてることからもわかるように、
自伝を元にだいぶ脚色を加えているドラマだと思ってます。

あとテレビ的に考えると、
今回はいつもよりも年が上のアラサーヒロインなので(←ふみちゃんゴメン)
NHK的にもたぶん華のある若い女の子を早めに出したかったんだと思うー。

ただ、視聴者的には、水木しげるの自伝漫画などと見比べて、
あの人のモデルはこれかー、東考ホームラン文庫がベースボール文庫になってる(←最近気がついたやつ)とか
こまごま見つけるのは、かなり楽しい作業であります
貧乏神ネタもちゃんと自伝の中にありましたよ!今度は福の神も出てくると思います(笑)

 「ゲゲゲの女房」もある程度このパターンではないでしょうか? 「ゲゲゲ」の脚本を手掛けた山本むつみさんは元編集者とのこと。おそらく、原作本以外にも資料として水木さんのエッセイや長井勝一さんの「ガロ」編集長、桜井昌一さんの本などを読まれたのではないかと思います。貸本マンガの終焉からその後やって来る雑誌マンガの興隆のダイナミズムと、そこに関わった人たちそれぞれの人間関係をめぐっては印象的なエピソードがたくさんあります。これらをピックアップし、「ゲゲゲ」の原作に肉付けしたのち、ある種コラージュのようにドラマの脚本を再構成した可能性はないでしょうか? その過程の中でつりたさんのエピソードを目にし、細々とした、しかし妙にリアルで頭に残るエピソードの断片をかき集め、換骨奪胎して新たなキャラクターを作りあげるという方法を採った可能性はあると思います。「事実」の持つリアリティが脚本家のインスピレーションを刺激し、物語に強度を与え、加えて昭和 30年代後半の貸本マンガ界の凋落と貧乏生活の描写が今の時代の不景気な世相に響いてヒットにつながったのかもしれませんね。

で、この青林工藝舎では、そのつりたくにこさんの作品集「フライト」を編集中だそうです。
これはかなり読みたい!!

あとさりげに他の本も宣伝もしてて(笑)

「ゲゲゲの女房」で貸本マンガに興味を持った方は弊社発行の辰巳ヨシヒロさんの劇画漂流 上巻、下巻、松本正彦さんの劇画バカたち!!も是非併せてお読み下さい。

だそうです。
他の出版社でも便乗出版物が色々出てきそうですよねぇ。
読み応えのあるおもしろいものをよろしくお願いしますm(_ _)m